[ >>89 後 ]
―――……シロ? クロも、
[ 「 そと 」の香りを身に付けて、僕はこてりと首を傾げた。
いつも僕に駆け寄って――片や僕を唸りつける二匹の姿が、 見えない。 二匹が消えてしまったかのように>>162鎖だけが残されてる。
警備員は、気付かなかったのだろうか?
きょろりと辺りを見渡すと、警備員の視線の先に、管理人のうちの一人が――今はもう、” ちがう ” のだけど――>>194監視室に向かっていた。
僕はその姿をいつもと同じ、錆びた瞳で見つめた。
彼が振り返ることがあったなら、 何か言葉を交えることもあったのだけど。 ]
……おかしいなあ。
[ 僕はまた辺りを見渡した。 犬の姿も、香も。何もない。そして” 食べる ”人もこの階では思い当たらなければ、まるで神隠しに子どもがあってしまったように――癖になった諦念と共に、ため息が出た 。 ]**
(214) 2015/07/13(Mon) 22時半頃