―夕方:教会にて―
[青年記者は、ひとりで書物を読んでいた。
教会にある書庫から借りた、月の暦に関する本を。
取材ノートの横には、この村の伝承に関する本が置いてある。もう既にメモを取り終えたのか、その本の上には愛用の万年筆が置いてあった。]
……そう、か。
[何かを咀嚼するような口調で呟き、本を閉じる。
教会を去る頃、老司祭に礼をすると、]
「もし多くの資料が欲しければ、此処よりもアレクサンデル家に頼むといいだろう。あそこの家は、代々村長の遠縁だ。村の歴史に関する資料もあるだろう。」
はい……ありがとうございます。
ちょうど今日からアレクサンデル家にお世話になる予定でしたし、家主さんにお願いして、資料をお借りするつもりです。
それでは……また生きてお会いできましたら。
[小さく一礼すると、青年記者は広場へと向かった。]
(202) 2010/08/05(Thu) 18時半頃