――光射す庭――
[日傘は手がふさがってしまうから、大分前に卒業した。
しっかり帽子を被って、君にも被せる。
バスケットを抱えれば、ほんの少しだけピクニック気分。料理があまり得意ではなかったのは、もう昔の話、握った白黒のおにぎりだってぼろぼろ崩れてくなんてことはない。なので、いつの間にか荷物に入れられていたカップラーメンは、ぽい。釈然としない顔がふたっつ並んだ。水筒を準備する、温かいお茶じゃ一気に飲めない。喉が渇く時の中身は、冷たいもの。
多分、準備は万端]
いこっか?
[うん、と頷く、小さなあたたかな手。
小さな歩幅が率先して前を歩こうとするから、危ないよ、
と止めるのだけれど一人前みたいな顔をして言うのだ。
「だって、かーさん あぶなっかしー」
ほんの一瞬、言葉を失ったことを、
あの人は気付いたかもしれない。めっ と叱って。]
……危なっかしくなんてありません、ほら、並んで歩こ?
(197) sen-jyu 2010/03/12(Fri) 18時頃