― 午後 教室 ―
ボクが居なくて、寂しかった?
[それは、午後の授業の鐘が鳴る、少し前。
呟く綾乃の背後から、にょきっとボクは顔を出す。>>142
空手部の彼女にとっては、こうやって容易く背後を取られることは意外かもしれないが、ボクも一応、裏の世界の、それなりの位置にいる人間。
そこそこに心得があったりする。
保健室で雪子と別れた後、ボクもその、皆を苦しめたテスト自体は受けていた。
ただ、偶然、保健室から出てくる所を見ていたらしい隣のクラスの先生に廊下で声を掛けられ。
一時間目は体調が悪くて休んでいたとちょっと大げさにか弱く芝居を打ったら、無理はするなと、何故か彼のクラスに連れて行かれたのだ。
よくわからないが、ボクが教室に戻り辛く思って、困っていると考えたらしい。
空いている席があるから、午前のテストはここで受けなさいと。
ボクの担任にはよく話しておくからって。
連れて行かれたクラスの生徒も喜んでいるみたいだったし、まぁ、いっか、とボクはそのまま、そこでテストを受けていたという訳。**]
(196) 2015/04/16(Thu) 21時半頃