―寮―
おっなかぺこぺーこー!
[おぅおぅおぅ、と歌いながら、寮内の廊下を歩いている。
しかし不思議なものだ。焦っている時ほど道に迷うのに、帰りはあっさり目的地にたどり着けた。大丈夫、きっとこれを繰り返していけば慣れる。はず。
自室で簡単に着替えをすませた。白のTシャツに濃紺の薄手のジャケット。ダークブラウンのジーンズという出で立ち。山吹に貸したタオルはまだ彼女の元にあるが、なんのことはない、10枚200円とかの無地タオルは大量にある。新たに頭に巻いている。]
……およ、ここなんだろ
[簡単なテーブルセットなどがある談話室を覗き込めば、朝見た人物がいた。先輩の姿に少しだけ緊張するが、声を張り上げる]
雪子先輩!こんばんはーっす!
[彼女が気づく程度の声量よりも、やや大きめ。
それは廊下にまで軽く残響して恥ずかしい。]
(192) 2015/04/16(Thu) 21時頃