[泣きながら名を呼ぶ。戻らぬもう一人の自分の名を呼ぶ。
もっと、もっと話しを聞きたかったのに。いろいろ、イワセの事を教えてもらいたかったのに。
怖かったのは、永遠に、眠る事。
目を取られる事では、ない。
寧ろ、こんな自分が誰かの役に立てるのであれば、目の一つや二つくらい、安い位で。
だから、だから、だから ―――――]
……喜ん、……で……?
でも、イワセ、起きない、……イワセは、もう、……
ねぇ、イワセ、は、 なおらないんですか。壊れた部分、
……俺、の、あげるから。 俺、……俺、おれ、 おれ……
[かくり、布の詰められた眼窩は重く、自然と左に頭は傾いだ。右の瞳からは、とめどなく涙が流れ、血濡れた頬を洗い流していく。]
……あぁ、あ、ぁ……、ぁ 、ッ、 ……―――ッ!!!
[響くのは、叫びにも似た、泣き声。]
(176) 2011/10/01(Sat) 22時半頃