……恥ずかしい奴だな、本当。
[こんな時でも憎まれ口を叩いて、彼の胸元に頭を押し付けようとする。
顔の熱を誤魔化そうとそうしたのに、結局それは叶わず。耳元に送られる口付けにほんの少し息を詰めた。
真っ当な努力の証明の様に落とされる口付けには、どうにも照れが出る。口角の上がった口元は全くもって忌々しい。――そう思いつつ、拒む事はしなかったのだけれど]
……気が向いたら、な。
精々努力しろ。
[ふ、と。吐息めいた笑みを落として。彼にされたのを倣う様に、その鼻先に唇を落とす。
……砂糖を吐きそうなくらい甘ったるい逢瀬だ。これ以上を望まれるのは、少々気が重い。
とはいえ、いつか見返りとやらを与えてやる事が出来れば良い。そう、思わなくもないけれど。
抱き締められた腕の中、今度こそ彼の胸元に頭を寄せて。そうしてその心音を聞けば、やがて静かに寝息をたて始めた]
(165) 製菓 2014/07/10(Thu) 07時半頃