>>86
[ルーカスに合わせられた瞳が、僅かに見開かれ、気持ちをそのまま表すように揺れて。
彼の腕を掴んでいた手は力をなくし、床に落ちた。
愛している、すぐには頭も思考も追いつかない。
あの世界の生徒会室での、カルヴィナの言葉が脳裏に甦った]
…………っ。
[抱きしめてくれる腕を、振り払う。
立ち上がりルーカスを呆然としたように見つめたまま、一歩、また一歩と、後退さった。
あと数十センチで空に投げ出される。その場所で。
自分の気持ちを必死で押し留めるように、きつく目を閉じた]
[何度も抱きしめてくれて、自分は何度もそれに安心して、
でもどこかで怯えていた。
作り上げた自分の何かを見透かされそうで、怖かった。
それなのに、生徒会室に遊びに行かなければいいのに、それをせずにいたのは……何故だったのだろう。それは、きっと]
(163) soranoiro 2010/08/15(Sun) 07時頃