ー1F 廊下ー
部屋から一番近くの階段を登ると掲示板と、そこに貼られた一枚の紙が目に入る。紙の1部が赤黒く染まっていることも気にはなったが、なによりこの掲示板が機能している所なんて1度も目にしたことがなく、何の連絡だろう、という疑問が優先されて。]
退院、者……?
[見出しの文字をおずおずと読み上げれば、指先を文字に添わせて食らいつくように続きを読み進める。]
ーーなんで、……彼が。
[退院者の名前を見付けると、何かの見間違いだろう、と何度も最初から読み直す。ーーカリュクス、自らと同じ病を抱えていた人物で、彼の事はほんの少しだけだけど知っていた。]
嘘だ、
[何かの悪い冗談だ、と自らに言い聞かせれば逃げるように階段を駆け下りて。]
(どうして、彼だけなの……。なんで私の治療は普段と変わらないの、同じ病気なのに……。)
[尽きることのない疑問を振り払うように頭を振ると、のそのそと廊下を歩き始めた。誰でもいいから医者を捕まえて、尽きない疑問を投げ掛けようと考えながら。]
(161) 2014/06/26(Thu) 12時半頃