[──再びこの世界で目覚めてからも、彼女のメニュー画面のログアウトボタンは機能を停止したままだった。
その、システム的にあり得ない現実は。
探していればいつかは会える、と彼女が考える一因になっていた。
──自分が望んだ結末が実行され、その後システムが巻き戻ったために起こった不具合がこれだと。
あるいは、自分も幼馴染も他の参加者たちも、どこか病院のベッドで眠っていて。現実に戻りたがっていた人たちはもう目覚めているのではないかと。
いくらクエストの敗北が《消滅》だと記されていたとしても、生きたいという意思さえあれば戻れるのではないかと淡い期待をしていたのもある。
だからなおさら、どこかに幼馴染の姿があると信じていた。思い込みたかった。
自分がいつまでも現実に戻ってこないなら、家のドアを叩いてくれたあの日のように、この世界にも一度は顔を出してくれるだろうと、淡い希望を抱きたかった]
(160) amane 2014/06/07(Sat) 23時頃