[月明かりに照らされて――ぬばたまの瞳でシノンが見上げてくる。何もかも見通すようなその瞳が、カイルを射抜いた]
や、その――
どうしたのかなって。
[如何を問われて、常の潔さとはまた違った姿を露わにされる。さすがに足りないことに気が付き、カイルは慌てて言葉を継ぎ足した]
い、いやあほら、急にいなくなっちゃうもんだから!
あんな訓練もありましたしその――
消えちゃったらヤダな、って、ははは、そんなわけないっスよね!
[未知の世界――黒魔術研究部の部室、シノンの世界、箱庭ともいえるこの場所に、カイルは初めて足を踏み入れる。少し、おっかなびっくりと]
でも――なんで、アオイ?
あいつぁー多分シルキスセンパイ辺りとでも話してますよ。
それに、おれは――
[その先は言葉にならなかった。保留されていることを思い出してか、カイルはははっと小さく笑った**]
(152) asta_jan 2014/03/12(Wed) 00時頃