ー中庭/硝子戸の廊下ー
[よもや先の自分の視線に居心地の悪そうにされているとは梅雨知らず。
拙くもしかりと耳に届いた音の色>>129に、やんわりと口端を上げ。
それが何度か繰り返されるようものならば、小さく「…そんなに呼ばずとも、俺はココに。」と 先の微笑みも面映い表情へと変わっただろうか]
――櫻子サン、ね。
…キレイな黒髪をしているね
[ちらり。其れから告げられた彼の方の名前には、否名前の紡がれ方には何を訝しんでか彼の瞳をちらりと見遣り。
ただ言葉を並べただけとも取れる世辞を口先から流したならば、一体どんな反応をその端麗な顔に浮かばせただろうか――なんて。
緩んだ言葉遣いは如何にとも取らずに。自分は淡藤色を宵闇に咲かすこの儚くも月下に居る花としか会話をしたこともなければ。只々気さくな花なのだろうと柔らかなその言葉を甘受し。]
(136) 2014/09/13(Sat) 05時半頃