─日暮れ・村中─
[カルヴィンを送り届けた後、通りに戻ったチャールズは足早にピエールの店へと向かっていた。
途中、行き交う村人達に挨拶をし、冬を無事に越えらるようにと互いを労い、望まれれば祈りの言葉を贈った。
途中、ウォーレンの工房にナイフの手入れを頼んでいたのを思い出したが、徐々に傾きつつある陽に、それは後回しにする事にした。
御茶屋のソフィアや針子のジリヤにも出会っただろうか。
ピエールの店に着くと、そこでは随分以前に見掛けた事のある老人──バーナバスだったか。彼と、薄着のトニーが食事を取っていた。
ピエールが頼んだ品物の持ち帰りを準備してくれている間に、彼等とも二、三、言葉を交わす。
特に、初めての冬であろうトニーの事は心配で。(しかも彼は旅に出ると言うのだから、なんと一人で!)手持ちの銀貨を包んでやり、路銀の足しにするように言う。少年なりの考えで拒むかもしれないが、普段から何かと彼の世話を焼いているチャールズはどこ吹く風だ。
クシャミが着れなくなった衣類などもあるから、遠慮せずに後で取りにくる様に言い含めて。ピエールに礼を言って、店を後にする。]
(135) 2013/11/21(Thu) 23時頃