『世界が、ひとつになってほしい』
[何のために? 不思議なことを聞く。そう、思った。
届かせるためだ。
伝えるためだ。
はじめて、ファンだと言ってくれた少女に、彼女のための曲を、送るためだ]
『音楽は、――力だ。世界を揺るがす、言葉だ。
願いをこめて弾けば――きっと、届く。そう、信じてるから、弾くんだ。
ソフィアがどこへ行こうと――たとえ、……二度と会えないところへ行ったとしても、
きっとこの音だけは届くと、そう信じてるから弾くんだ。
彼女が、ファンだと言ってくれた、俺の曲を。俺たちの曲を――』
[あるいはその言葉は、スタンダードナンバーの最後の音にかき消されて聞こえなかったかもしれない。
一瞬目を閉じて。もう一度ラルフを見て。
そのままセンス・オブ・チェリーブロッサムのヒットナンバーの演奏をはじめる]
(135) 2010/08/06(Fri) 22時頃