―― 美術室前 ――
[もしかしたら、オスカーあたりも身を起こすのを手伝ってくれたろうか。
差し出されたミッシェルの手。
常よりもはるかに力は無いが、それを引き寄せようとして。
かすれて、声を潜めて、でも喉が痛くてあまり声量調節は出来なかったかもしれない。ともかく、ゆっくり話しかけた]
……悪趣味、な、ぉにごっこ。乗るの、やめとけ。
よりによってあんたが、あんなに楽しそう、に、人殺し、語るな。
「ばーにぃ」って奴にも、言っとけ
[分からない。今、脳裏に刻み込まれた出来事が現実の音だったのか、それとも単なる幻覚か。
知らない。今聞こえた声に、2種類あるなんて]
[現実と幻覚がごっちゃになって、今聞いた会話の全てがごっちゃになって。ただ分かるのは、その中に、ひどく聞き覚えのあった彼女の口調が混じっていたこと。そして、その中の1人が、はっきりと「バーニィ」と呼ばれていたことだけ]
[一番楽しそうだったあの口調のことは、流石に口に出来なかった]
(132) 2010/03/03(Wed) 09時頃