[苛立ちばかりの説教を吐き出しきって、次第に醒めてゆく思考。
自分の一挙一動に大袈裟なまでの怯えで返されて、しまったと思った時にはもう遅かったようだ。
―けれど、凶器を向けられなかっただけ良かったと言うべきなのかもしれない。相手にも余裕がなかったのか、はたまた他の要因かは理解らないけれど。]
…、え、あの。……。
[呑み込まれた呼吸がようやく吐き出された音を聞いて、思わず眉を下げる。
常の彼の様子には、此方も引かずに譲ることなく挑まなければならない、と。決めていた筈だったのに。
あまりに頼りないその様子に、衝動のままベッドへとついた手は、するりと引き戻る。
揺れる右手に押されるがまま、オスカーの足元へと膝をつくと、逃げようとする右手首は掴んで留めて。]
……すみません、大人げがなかった。
貴方に危害を加えるつもりはありません、…何もしませんから。
[食堂で彼に掛けた言葉を思い出しながら、居た堪れない心地のまま、ぽつりと呟く。
そのまま手の様子を確かめて、重傷でないと知れば、彼の部屋の救急箱を拝借して軽く固定をするだろう。
それが終わったのなら、改めて先程の答えを聞いてみても良いかもしれない。]
(124) 2014/06/25(Wed) 22時半頃