……学者って、大変なんですね。
あなたは、この村の人じゃないのに。
なんだか、ずっと村に住んでいる人みたい。
[無意味な事だ、と言われて。
目を伏せて呟く。
腕を伸ばした先に、光が見えない。見えた筈の光はすぐに掻き消えてしまう。
そんなものか――と。虚ろに、諦めたように笑った]
……そうです。
仇、討ちたい。ううん、討てなくてもいい。返り討ちにされてもいい。わかんない。わかんないけど……
僕は、ミツカイサマに会いたい。
会って、……僕の大切な人たちを、もう、殺さないでって、僕は……僕は失うものなんてもう無いから。僕が、僕自身を生贄に捧げる覚悟は、もう出来てます。そのための道具もある。
……村には、古い家は沢山あります。元々、僕が生きて帰ってくるなんて、誰も信じてないでしょうし。現実問題としての次の村役の相談は、長老達がやっているでしょう。
ごめんなさい。イアンさんに話したって、どうにかなるものでもないのにね。ミツカイサマが誰なのかも、よく分かんないし。
[語るだけ語って、目を伏せた]
(121) 2010/08/07(Sat) 00時半頃