どう、しよう、私……私会長の大事な、人だって、しらなか、知らなかったの、
[知らなかった、そう何度か繰り返したが自分で違う、とそれを打ち消すようにして首を振った]
違う、そうじゃなかったとしても、誰、だったとしても、
あんな事したら、いけなかった……!
[間近に近寄る会堂から己の顔を隠すように更に縮こまって後ずさるが狭い敷地の事、背中が植え込みにぼふりと半ば入り込んでしまった。
細かな枝葉が絡んでシャツからはみ出した腕をこすり、髪に絡んでも怯えたように更に下がろうとして]
あのこ、あの子花火の時きっと楽し、かったんだ
私見てた、一本だけしぶしぶ、みたいな顔してたくせに、ずっと、火花のとこ、見てた、
見とれてたんだ、むずがゆそうに、居心地が悪そうに、でも、眩しそうだった
あんなにいいかお、してたのに
あの子が、あの、……っ
[言いたい事がまとまらない。嗚呼、あの眼差しがじっとこちらを見据えている。
混乱の極みのようでしゃくり上げる声が止まらず]
(110) 2019/09/06(Fri) 23時半頃