……意外でした。
外から来たあなただからこそ、「それは犯罪だ」って、僕を裁いてくれると思ったのに。理由が在ろうとなかろうと、僕は人を殺した。
理由が在ろうとなかろうと、ミツカイサマもまた人を殺す。それって、――大変な事じゃないんですか?違うの?森の前では、人の命なんてどうでもいいの?
[埃臭い気配が記者を包むだろうか。自分は、書庫の中に入る事はなく]
ホリーが哀しむ?
記者さん。ホリーはね、悲しんだりしないの。もう、悲しんだりできないんだよ。
分からない。ひょっとしたら、死後の世界みたいなものがあって、そこから僕達を見守ってくれてて、とか、そんなのがあるのかもしれないけど。
そっちの様子なんて、僕が死ぬまで分からないんだからさ。
[地下書庫の戸口に佇む。
姉について語る口調は――抑えられないように語る口調は、とても子供じみていた]
仇を討てないなら。
……連れてってくれないのかな。
[それは、心からぽろりと漏れた呟き。
多分、自分でも気が付いていないくらいの]
(102) 2010/08/07(Sat) 00時頃