[『偃月亭』へ最初に訪れた時は、その賑やかさに些か驚いたものだ。
普段足を踏み入れないような場所へ、そんな興味で選んだ店だったのだが、今となってはお気に入りの一つとなっている。
その時求めたのは昨夜と同じく、ワインとお勧めの料理。
場違いにも思える姿での食事は、周囲に口に合わないのではと思われたかもしれないが、そんなことはない。
美味しい料理に貴賎はないのだ。
高級店には高級店の、偃月亭には偃月亭の味の良さがある]
[昨夜も、青年を知らぬ者には場違いなのでは、と思われただろうが、当の青年はそんな視線は気にもしない。
今日から働いてくれていると紹介されたジェレミーを見遣ったり、問われた掘り出し物>>59について、『緑園の冠』で古書を買ったことや『rose』で質の良い宝石を手に入れたことを話した]
[それから、祭の日には『緋色の華灯』で出品される蝋燭を購入する心算でいることも伝える。
これは将来的に掘り出し物になる、先行投資ともいえるだろう。
そんな話をした後、案内された席につき食事をしたのだった]
(102) 2018/08/10(Fri) 01時頃