―― 居酒屋外・祭り ――
[10年前に食べ損ねた西瓜は、どこか優しく甘い味がした。
居酒屋を出た一行は、賑やかに祭りの波へと足を踏み入れる。
顔を見合わせ、屋台を指差し、忙しない皆の姿を列の一番後ろで微笑んで眺めた。]
楽しいですね。
[隣を歩くのは、自らの唐突な告白に真っ直ぐ応えてくれた>>*6ディーン。話しかけるのが少し恥ずかしかったけれど、自然と隣に並べていることが嬉しかった。
すれ違う人の波に目を向けると、楽しそうに手を繋いで歩くカップルが多い。10年前の自分たちのような若い男女も、老年の男女も。甘酸っぱく華やかな空気にどこか押されたせいか、何もないところで躓いてよろける。]
あっ――!!
[咄嗟に掴んだのは隣にいる彼の腕。
離さなくては邪魔になる。そう考えていても、手はぴったりと離れなかった。]
(99) oranje 2011/09/03(Sat) 22時半頃