[あゝ此方を向いたその瞬間、まるで興味が失せたように顔を逸らすその様>>93よ。
肩を竦めて一歩店へと入り込み、ピシャリと小さな音を立てて扉を閉めれば、困ったように苦笑を浮かべ――心の中では、"相も変わらず無愛想な人だこと"、なんて思ってはいたけれど。]
ほんの近くまで来たものですから。
お客様も丁度おらんようですし、お邪魔しても構わへんか思いまして。
[唯でさえ慣れない国の、慣れない言葉は相手にとっては聞き苦しいものではあったかもしれないけれど。
そんな事には構いもせずに、女は促されるままに椅子へと腰掛ける。
そうして差し出された小さな袋>>94には、きょとりと目を瞬かせ。
一度、二度と手にした袋と薬師を見比べた後に、"そんな注意をするくらいなら、人にあげんと捨ててしまえばよろしいのに"、なぁんて笑うも、袋の中を覗き見れば…あ、と小さく声を上げる。]
…コレ、何処で手に入れはりましたん?
この国に来てからずうっと探しとったんよ。
[袋の中からひとつまみ、小さな金平糖を取り出して。遠い昔を懐かしむように目を細める。つまんだその星を軽く掲げ、"いただきます"と笑いかけてから口の中へとぽいと放る。]
(99) 2015/01/21(Wed) 18時頃