あの、ところで……女医さん、ですよね?
[若い女医だか医者の助手だかが街から来た、という話は風の噂に聞いていた。
実際顔を合わせたことはないけれど、女性の出で立ちや理知的な雰囲気は、そのイメージにぴったり合致する。
しかし、初めまして、と言いかけて彼は首をひねった。
どうも女性の顔立ちには見覚えがあるような、ないような。]
(でも、どこかでお会いしたことありましたっけ? なんて言ったらナンパしてるみたいで……
無いな。うん。無い。俺でも引くって、そんな男)
[大体昔馴染みだったとしても、人の記憶に残らないことには残念ながら自信がある。相手も忘れていることだろう。
極短い脳内会議の末、結局こう切り出した。]
あ、俺、ベネット・ウェリントンっていいます
ここを真っ直ぐ行った先の古本屋で働いてて……
そちらは……あの、お名前を伺っても?
[問いかけると、同じくらいの高さにある女性の目を、じっと覗き込んで*返事を待つことに*]
(98) 2013/06/26(Wed) 19時頃