蝶様は余程暇なのか、余程俺達花が珍しいのか。
なんにせよ蝶が多く訪れるのは、悪い事ではないな。
[いつもなら、蝶が増え始めるのは明かりが灯るような闇が広がりきるかきらないかの頃。
珍しい事もあるものだと、兎を一口。
程よい甘さが広がり、それがまた茶の香を引き立てる。]
あぁ、もう植え替えの時期か。季節が過ぎるのは早いな……
[藤之助と初めて顔を合わせてからどのくらい経っただろうか。
自分がこの花籠へと入れられたのは。櫻子と、他の花達と顔を合わせたのは。
随分と昔の事のように思える。そんな月日に思いを巡らせていれば
美味しい、と音が聞こえてきて。>>59]
それは良かった。俺には茶を入れる程度しか芸が無いからな。
藤之助とのんびり過ごすのも良いが、お前の仕事の邪魔をするのもなぁ…
[もう少しのんびりしたら、たまには廊下にでも出てみようか。]
(89) 2014/09/12(Fri) 23時半頃