―― 7年前 ――
[次に目を覚ました時、見慣れない真っ白な、豪奢な天井が一番に目に飛び込んできた。
その白さを眩しく感じて自然瞳孔が狭くなる。
どこだろう、とぼんやりとした頭で考えていると、脇にいたシックな給仕の服に身を包んだ獣人が、誰かを呼びにか、どこかへ去っていくのが見えた。
眠る前、包まれていた感触と同じようなふかふかとしたベッド。
窓からは、赤や黄色に鮮やかに色づいた木々が見えた。
どこだろう、と再び考えるもその答えは見当もつかない。]
……へっくし!
[不意に寒さを感じて、くしゃみをする。
途端に、背中がズキズキと激しく痛む。
あれは夢ではない。そんな実感をしていたら、いつの間にいたのか傍らには、白いふわふわとした毛を纏った、小さな女の子がいた。]
……誰?
[少年は、すん、と鼻を鳴らして尋ねかけた。]
(85) 2013/11/17(Sun) 14時半頃