[ BGMも何もない廊下には僕の不気味にさえ思う足音だけが響いた。ひたり、ひたり。 真夜中だれかが見たらホラーじみて、怖がられたかな 。
僕はそのまま突き当たりを右に曲がった。 ……プールの入り口に入れば、既に誰か先客が居たかもしれない。
そしてプール行く途中、長髪を揺らめかす影を見付けることさえ。もしかしたら。 ]
……かさつく、なあ。
[ ……衣服の下を指先で撫ぜると皮膚がめくれた。
はらはらと皮が落ちるのを放って、滲む赤をゴシゴシと拭い広げる。すると鈍い痛みが、内部に広がった。
…ああ、だめだ。施設には鮫が、居るんだった。 僕は慌てて( と言っても、そんなに素早く動けてないけど。)水で流して、ハンカチで縛った。――これで何とか、彼の嗅覚を誤魔化せるだろうか。
…亀のクリームとか、無いのかなって。 あまり普及されない「ぼくたち」の道具を恋しく思う。
―――そうして、それから。
何も無ければ、僕はのろのろとプールに体を浮かべてみただろう。 その差中、人影を見たなら、様子を見てその場から去ろうとすることだって 。]**
(84) 2015/07/10(Fri) 22時半頃