[素早く振り払われた手>>75に、迂闊だっただろうか、と思う。食堂で彼が見せた怯えの表情を忘れた訳ではない。
けれど続けられた嘲るような言葉に、すぐに苦笑を浮かべた。]
はあ、どちらかを贔屓するようなことはしませんよ。
どう見ても両成敗でしょう。
[自分もたいがい沸点の低い方だけれど、その程度の煽りにならば乗ることはしない。
どちらが揉め事の原因になったかは知らないが、それでも片方が肉親であれば、それなりに申し訳なさは覚えた。]
…怪我はありませんか。
[弟によって作られる痣や引っ掻き痕には、自分も覚えがある。何かあっては後々困ると、気遣いの言葉を掛けて。
――そんな振る舞いだとか、彼の"仲良し"なんて言葉だとか、きっと弟は良い顔をしないだろうと、知ってはいる。
最後に聞こえた言葉にだけ、どこか違和感を感じ取って、それまでとは違う覇気のなさに首を傾げながら。
遠目から見ても思い切り踏みつけられていた脚に目をやって、確かめるように手を伸ばす。先と同じように拒否されるかどうか、それは解らないけれど。]
(80) 2014/06/25(Wed) 12時半頃