[暫く逡巡して、顔を上げると、懐から手鏡を取り出した]
…では、これをお願いできますか。
これは祖母の形見で…人に紛れたあやかしを見破る力を持つ鏡、でした。最早力は失われているかもしれませんが…。
これを私が大切にしていたことはねえさま方はご存知なので…きっと、分かっていただけると思います。
私の思いを。
[大切にしてきた手鏡。それを手放すことはとても辛いけれど。だからこそ、その手鏡を受け取ってもらえたら自分がここに来た覚悟も、思いも、わかってもらえるはずだと。
そう願いをひとたび込め、ぎゅ、と握り、仁右衛門をまっすぐ見据えて、言葉を紡ぐ]
そして――…、
「何処に居ようと、何があろうとゆりは幸せで在り続けます」 と、お伝え下さい。
…どうぞ、よろしくお願いいたします。秋月様。
[深くお辞儀をして、ふわりと微笑んだ**]
(75) narock 2011/09/24(Sat) 02時頃