[カリュクスが震える声で、言葉を紡ぐ
それはとても小さく、注意して聞かなければ消え入りそうだった
辛うじて、最初の言葉は聞き取ることができた]
……血?
[血がどうしたのだろうか。
言われてセシルの服を見れば、先程ついたものであるかのように、鮮やかさが残っているように見えた
夜中に殺害されたのであれば、乾いて固くなっていそうなものなのに――と、思考を巡らす]
――乾いて、ない…?
[そう、帰結した疑問を口に出す
カリュクスからの礼と視線が聞こえると、目線を合わせて頷き]
…ぼくは、大丈夫だよ。
[そうひとこと、告げて、拒まれなければ服を掴んでいた手を握った
確約できるものは、何もない。信じてもらえなくても構わない
ただ、言いたいから言った。それだけだった
――今にもこの世界に潰されてしまいそうな彼女を守りたい。信じて欲しい。そんな欲望から出た、身勝手かもしれない]
(74) 2013/09/22(Sun) 16時頃