[ プール → ]
[ 霧がかかって、朦朧とした思考は>>25彼の声で晴れた。
僕から離れながらくつわをはめ直す彼に、また近付くほどバカではない。僕はぼうやり先の名残が残ったまま彼の仕草を見つめた。
こん、と叩かれた吸収口。俄かに軽い音に、替え時だろうかと思いつつ。 ]
うん、君と。でも僕と居ると、…あんまり、ほら。
視線もあるから。ダメなら平気だよ。
[ 濁した言葉の奥、浮かぶのは僕自身の「立場」。
管理人の上の上、あくまでも施設を統率する側なのだ。本当だって、ここに居てはいけない。 すぐに戻らなきゃ、ならない。――けれど、 ]
僕らはきっと、「 さみしい 」んだね。…モスキート。
[ ―――まぼろしを求めて飢えた渇きが、孤独が。 僕らを長い間、襲っている。
僕はそっと彼に手を差し出した。 誰かを傷付けないように、手袋の嵌められた手を求めて、そっと伸ばした。直された足先の横に僕のそれを並べて、 着替えることも出来たら、過程を通りつつ。
「 知りたいこと、何でもいいんだよ。」
……僕はやっぱり、中途半端な亀だなあ。 ]**
(65) 2015/07/12(Sun) 20時半頃