―回想/森にて緑の魔法使いと出会う―
[いや。悪いが、私にも、分からん。
「大丈夫」と問いかける>>27魔法使いに、反応せぬまま、心で答えた。
轢かれた足は痺れたまま。打ちつけた背中の痛みに、呼吸もままならなくなっている。
致死に至る負傷かどうかは、ヴェラ自身にも分からない。
分からないまま、ただ、頼む>>0:202、と。
見知らぬ、されど群の仲間と思しき魔法使いへ。何を求めているのかも分からないまま。もし……で、あれば、頼む、と。
ヴェラよりも小柄な体が、己のことを担ぎあげる。
お前、女だな。今更ながらに、どうでもいいことに着目する。
発動する、ヴェラには馴染みのない魔法。
空間を超えた、と頭を過った時にはもう、体を幹に預けていた>>31。
「治す」の言葉。ありがたい。が。
しばし休めば治癒する類の怪我ではないと、その位の事はヴェラにも分かる。
だから、顔に手が添えられ、ヴェラなりに理解する。
なるほど。末期のナデナデか。「治す」の言葉は、せめて逝き際安らかにと……]
(60) 2013/06/14(Fri) 00時半頃