――診察室→2F廊下――
いらっしゃるなら良いのですけれど。
[ネルの病室へと向かいながら、そんなことをぽつりと呟く。こんな仲裁じみたことをするのは初めてで、いまひとつ勝手が解らない。
そうして、ぴたりと閉じた彼の部屋の前まで辿り着いて。
デメテルとローズマリーに顔を向けて、伺うように首を傾げる。
許可されたのならば、その白い扉を控えめに叩いてから声をかけるだろう。]
ノーランさん、…いらっしゃいますか。ローランドです。
扉を開いても宜しいでしょうか。
[あえて何事もなかったかのように声をかける。
といっても、先の今ならばそれなりに警戒はされるかもしれないけれど――それでも自分は"医者"だ。狡い手段を使っている自覚は、ある。
けれど今は少女のために、少しでも何かしてやりたいと、思わなかった訳でもない。
声を掛けて、室内の様子を伺おうと、扉に身を寄せようとしたところで。]
(59) 2014/06/25(Wed) 04時頃