― バー「海のしずく」付近・レストラン前 ―
[それから程無くして、男はとあるバーへと向かった。海のしずくというそのバーに、男はよく通っている、常連客だった。
それ故に、バーの雇われ店長でありバーテンであるローズマリーという娘とは、それなりの面識があった。女好きらしくちょっかいをかけたり酔いのまま絡んだりする事もしばしばだったから、単純に親しまれてはいないかもしれなかったが。
そろそろ開店する時間だな、と考えて。バーがある路地裏へと向かい――その手前、路地裏がある街路の途中で、立ち止まった]
……お?
[男が視線を向けた先には、レストランがあった。洒落ている割に安いその店には、男も時々入る事があった。だが、今足を止めたのは、其処に入ろうと突然思い立ったからなどではなく]
……え、何? 俺?
[聞き覚えのない声に、呼び止められたからだった]
(57) 2011/10/18(Tue) 23時半頃