[>>41被せるように、聞きたい事はないと首を振るヴェラ。それには鈍い痛みを感じつつ。]
…ふゥん。
[アヴァロンからの通達は、魔物となっても『魔法使い』として働いていた自分の耳にも入っていた。
それを何処か他人事のように聞いていたのは。
―もう一人は知らないけれど、自分は此処を本拠地としていなかったから。
確実に魔物を排除する為、他の人間が入り込みそうにない奥地を、‘魔物の塒’として設定した可能性もある。
自分達と一緒に放り込まれたのは、あらぬ嫌疑をかけられた哀れな羊。
アヴァロンを信用していない男の視点は冷たい。
ヴェスパタインに自分の想いの一端を話したのは、彼が間もなく死ぬからで。
始まりとなったあの場にいた彼が憎かったわけではなかったけれど、自分の願いを果たすには…生きていくには彼の存在は邪魔だった。]
(55) 2013/06/17(Mon) 23時頃