[俯いた彼の肩が揺れれば、笑うのを止めて眉を寄せる。そうしてそれに続いた言葉を聞けば、憎々しげに顔を歪めた。
――嗚呼、どうやら少々やり過ぎたらしい。今更気付いても、遅いのだろうけれど]
……色狂いはどっちだよ。
いい年して、少しお盛ん過ぎるんじゃあないか?
[さっき散々満足させてやっただろう、と。馬鹿にする様な言葉を、ほんの少し青褪めた顔色でそう言って。
背中を冷えた汗が伝うのを感じる。やっと調子を取り戻し始めたというのに、これでは振り出しに戻ってしまうじゃないか。
ぎり、と。散々噛み締めた後の唇を噛む。そうしてじわと口内に溢れた鉄の香りに、より顔を歪めた。
体が寄せられ、腿に彼の手が這えば、ぴしりと体を強張らせて。それでもそれを悟られない様に、無理矢理笑みを形作ってみせる]
そりゃあどうも。
[笑みのままに近付いてくる顔に、舌打ちの一つでもしてやりたい気分だけれど。けれどその表情が笑みだけでないと分かれば、僅かに目を見開く。
揺らぐ瞳に彼を映して、少しずつ目を細めて。笑みを浮かべている筈のその顔を、冷たい掌で撫ぜた]
(48) 製菓 2014/07/07(Mon) 19時半頃