[初めから分かっていたことだった。
自分の気持ちに気づいてないどころか、そもそも彼にそのケがないことくらい、ずっと一緒にいたら分かる。
それでも、“結婚”という言葉を聞くと、やはり同様はするもので。
相手の女性も知っているし、彼女なら彼のことを幸せに出来るだろうことも分かっている。それでも式に出るか躊躇してしまうのは……彼らを笑顔で送り出せる自信がないから]
……本当は出たい、ってか出なきゃいけないとは思ってんだけどなー。
[式に出たらこの想いをふっきれるだろうし、そうすべきなんだとは思うけれど、――今の気持ちのまま出席することになったら、挙動不審レベルで怪しい行動をしてしまう自覚がある。
式まではまだ日取りはあるけれど、そのときまでに気持ちの整理がついている保障はどこにもないのだ。
さて、どうしたものだろうと頭を抱えつつも、メール返信は保留することにした。
彼は男が作家であることを知っている数少ない友人の一人。執筆活動で忙しいと勝手に判断してくれるだろう]
[スマートフォンは何も操作しないままポケットに突っ込んで、キッチンへ向かおうと部屋を出た**]
(47) 2014/12/05(Fri) 02時頃