ー桜の木の下ー
[体育館にいる人達にはちょっと用事があるとでも言って一旦、抜け出してきただろうか。満開の花を咲かせていた桜は淡紅に光を放っていた。咲いているというだけでもおかしな話なのにそれでも私は、綺麗だななんて思う。
ここに来た理由は、なんだろう。
思い出に手繰り寄せられた、とでも言っておこうか。
この桜の木の傍らもまた彼女との思い出が残っているから
そして、私の名前の由来でもあるこの木は私にとっては特別なものだ。ふと、この廃校が取り壊される前に十分に見ておこうと思った。
そんなものだから
ふらふらとやってきた先で
まゆ美が幹にもたれかかっていたのを見つけたのは果たして偶然であったのか。]
...そんな恰好でいたら、寒くない?
風邪引いちゃうよ。
[土塗れの足を見れば眉を顰めて問いかける。]
久しぶりだね、まゆ美ちゃん。
[私はずっと会いたかった友人の名を呼んだ。]
(45) 2015/12/17(Thu) 13時半頃