[オスカーが、そんな少女くらいの時だったか。
将来酒場のマスターになるなら、練習しておかないとね! なんて言って、興味はあるみたいだからと、こっそりお酒を勧めてみたら。
……ぼくじゃない、ぼくじゃないよ、とこわい目でこっちを見ている主人から目を逸らして心の中で唱えつつ。
ラルフに抱きつく顔色があやしいオスカーを、大きくなったなあ、なんて思いながら眺めていたのだが]
ああ、そういえば。オスカー君、これ要るかい?
[6年前のように、ひそりと渡してみたのは。
普段は近所の野良猫御用達の、余りものの小魚なのだけど、彼は受け取ったのかどうか]
……もしかして、お祖母ちゃんが預かってたサザエって。今日とりに来たというし…… いやでも、まさかね。まさか。
[誰かのヒラメじゃああるまいし、なんて独り言。
ひょい、とひとつ、つぼ焼きを口に放り込み]
お二人さんも、おやすみ。良い夢を ね。
[やがて、ヨーランダとベネットが連れ立って酒場をあとにすれば、つと目で追うが何を言うわけでもなく、別れの言葉だけを口にして、ひらひら手を振り。
楽譜を受け取ったセシルに、どんな曲なんだい、と尋ねてみたりするのだった*]
(42) 2011/04/17(Sun) 04時半頃