[眠っていたと思われた少女>>31から、綺麗な歌声が聞こえる。音程は的外れだけれど。綺麗と思える、不思議な歌だった。
起こしちゃったかなと、申し訳なくも思ったけど、鼻歌に合わせてくれる優しい歌が心地よくて。そのまま楽しげに、ふんふんと鼻歌を続けた。]
………?
[突然名を呼ばれ、視線だけ彼女に向ければ。小さく紡がれた言葉に、びくりと身体を震わせた。]
絵本…絵本かあ。
[んん、と唸って、考え込む。僕ってどんな絵本を書いていたっけ。あの頃は全部が楽しくて、世界がキラキラ光っていて。バッドエンドなんか想像も出来なくて、子ども達に「幸せ」を伝えたくて。]
今度…、そうだ、退院したら。読んでくれる?僕の絵本。
[唐突に、後ろの少女に尋ねてみる。何も生み出せなくなった自分が情けなくて、悔しくて、鬱な気持ちを振り払うように出た言葉。退院を希望とは思っていないことの矛盾に、自虐しそうになるけれど。]
レティーシャは、退院できたら何したい?
[この話はこれで終わり、とばかりに少女に話を促す。
彼女は転院者の話を知っているだろうか?それについて皆がどう思っているかには、多少興味があったし。話の種には丁度いいだろう。]
(40) 2014/06/30(Mon) 03時頃