―回想・続>>1:29 チャールズ―
『…何か、温かいものでもお作りします。』
[そう、かけられた言葉の声音がどこか、哀愁を帯びて聞え、男は相手を椅子から見やる。]
…おう。ありがたい。
[酒は無い、と付け加えられた言葉には、小さな笑い声で答とした。
男は酒でも水の様に飲んでしまうが、特別酒が好きかと言うとそうでもない…何しろ、酔うという事が無いのだから。
だから別にアルコールの有無などどうでもいいのだが…]
…。
[ぎ、と音を立てて背もたれに背を預けると、男は天井を見上げる。
相手が己の向こうに何かを見ていることにはうすうすながら気づいている、しかしそれをはっきりさせようとも思わなければ、触れる気もないのがこの男だった。
もしも何かを問われれば、何という事もなく答えたことだろうが、振られぬ話は触れてほしくないモノなのだろうと。
悠久の時は男に、全てはあるがまま、という世の理に似た何かを身につけさせていたのだった。]
(37) 2013/11/20(Wed) 16時頃