『…じゃーせめて女の子らしーくすればいいのに。』
うっさぁい!そういう問題じゃないの!
[自分の分の飴も取り出して、包装紙をぺりっと剥がす。
…うう、何度も交わしているやり取りだから、友人だって判っている筈なのに。
彼氏が欲しいことと、お淑やかにする事は別だ。
少なくとも私にとっては。
ガサツと言われたり、いまどきの男子より余程男前だと言われたり、
痴漢を返り討にしたり、スポーツテストで並々ならぬ数値を出したり
何故かバレンタインデーに見知らぬ後輩女子から手造りチョコを貰ったり
…言ってて虚しくなってきたぞ。
――まぁそんな私だって、いっちょまえに憧れぐらいは ある。
…いや、そりゃ。
女の子らしいとか、お淑やかからかけ離れているのは自覚あるけれど。
口の中へ、黄色の飴玉を放り込んだ。 がりん、と軽い音がする。
あ、うっかり噛んだ。]
(32) 2010/06/16(Wed) 01時頃