…何か、温かいものでもお作りします。
[窓の外を眺めるドナルドに声をかけて、立ち上がる。
──ああ、アルコールはありませんので。小言のように付け加えて、空になったケトルを携え隣室へと向かった。]
(彼といると、どうにも感傷じみてしまっていけない。)
[水を汲みながら自嘲気味に思う。
傍に居ると、身の内を流れる血が熱を持つようだ。知るはずもない懐かしさは、同族としてのものなのか、ここには居ない半身のものなのか。
それを推し量ることはチャールズには出来ないけれど、少なくともドナルドにとっては何ら関わりの無いことだ。
燃える様な赤い髪。ほんの一瞬、誰かの面影がよぎったのを、直ぐに思考から追い出した。
似ている、なんて勝手な思いを腹に抱えたまま、ドナルドに接するのは申し訳なく思えて。]
──君は、一体、いつになったら戻ってきてくれるのでしょうね。
[ひとりごちて、一度だけ名前を小さく呼ぶ。が、直ぐに振り切るように頭を振って廊下を歩き出した。
少なくとも、暖炉の傍で待つ彼ら──特にクシャミには、先程のような落ち込んだ様を見せたくは無かった。]**
(29) 2013/11/18(Mon) 21時半頃