[ドナルドの言葉から、目撃者はそこにいたグレッグという男なのは解った。
彼の言葉がなければ、即座に名は呼べなかっただろう。
こんな状況下で努めて冷静にいようとしたのは、年長者の部類に入る身としての義務感もあったかもしれない。
けれどそれだけではないことも薄々感じてはいた。
無意識に腰に忍ばせていたした回転式拳銃を掴めば…その金属の感触がやけに冷たくも感じられた]
クラリッサ……このままでは彼らが不憫だ。
手伝って貰えるか?
[息絶えたドナルドの片眸を右手でそっと閉じさせる。放置もしておけない。
調べる必要もあるだろう。ならばひとまずどこかへ安置するべきだろうか?
クラリッサ……私と割に年の近い同姓の名を呼ぶ。
その場にいたかはわからなかったが、私が唯一考えずとも出る名はそう多くはない。
彼女は、そんな僅かな一人だ]
(28) 2012/04/23(Mon) 23時頃