-7年前-
……クシャミ?変な名前ね。宜しくなのでしゅ!
[>>0:115 男の肉球を弄りながら、お嬢様は『くしゃみ、くしゃみ』と何度も復唱しました。始めてのお友達の名前でしたので、お嬢様なりの努力だったのかもしれません。
彼が擽ったそうに笑うと余計に楽しくなって、肉球をぎゅ、と押して遊んでおりました。]
――…うん!クシャミ!
この恩は倍にして返してくだしゃいな!
[すっかり元気になった彼を見送る時も、幼いお嬢様はやっぱり気丈で。小さな胸を反らして、羊毛に包まれた腕をぶんぶんと振って見送りました。
その一方で蒼い目は、うるり、と揺れて。唇をきゅっ、と瞑りました。]
……約束ですのっ。
[そして彼が何度も軽々と乗り越えて会いに来てくれた、高い塀を。お嬢様も真似して抜けてきたのです。
猫のような体のしなやかさや、平衡感覚は全くないので、大変手間取り、最後は強引に飛び降りましたが。
冬に備えて一段と毛深くなった羊毛が、お嬢様の華奢な身体を護りました。]
(27) 2013/11/18(Mon) 21時頃