ころ……すの……? そしたら……痛く……なくなる、の?
[しばらくの激痛から解放され、女性は一息ついた。見渡した病室の中には、二つのベッド。
片方はもぬけの殻だったが、もう一つには、人間が寝ていた。
それは男性だったかもしれない、女性だったかもしれない。
若かったかもしれない、歳をとっていたかもしれない。
ただ、女性の脳に働きかけたのは、その安らかな寝顔――]
いやああああああ!
[叫び声をあげて、女性はその顔に殴りかかる。得物は近くにあった点滴を下げておく為の長い金属の棒]
いやあ、やっ、いやあっ!
[何度も、何度も、幸せを浮かべる顔に棒を叩きつける。その過程で棒についていた点滴や、細かい部品などは外れ、完璧な一本の棒と化していた]
どうして、幸せなの! どうして、笑えるの! 私は、こんなに苦しいのに!
[女性の慟哭と共に、その顔は次第に原形を失っていく]
(25) 2012/02/09(Thu) 23時頃