……、?
[夕日の中、思わず、といった感じで差し出された手に不思議そうに首を傾げる。
その手がペラジーのポケットを示せば>>19、納得がいった青年は微かに笑った。
夕日の差し込む中庭を、二人は少女と進む。
さくり。剥き出しの足の裏に感じる、湿った土と草の感触。柔らかなそれが、足音すら消して。
中庭の中央にある広葉樹まで歩けば、青年はその下のベンチに少女の身体をそうと降ろした。]
Inside the pocket, there's one biscuit──…
…これも、オマエの『魔法』?
[ベンチに座らせたペラジーの前にしゃがみ、ポケットからくるまれたビスケットを一枚。
低い声で歌って、隣に立つ男を見上げた。
魔法。青年は、男の手品をそう呼んだことは一度もない。含みのある言い方に、ヤニクは気付いたかどうか。]
……ここ。好きだったもんな。オマエ。
[立ち上がってベンチに腰掛ける。ぽつりと言って、少女の髪を撫でた。]
(21) 2014/09/10(Wed) 00時頃