─10年前・教会─
[どれくらいそうしていただろう。>>6:+7>>6:+8
握ってくれる手に力が篭る。温もりが愛おしい。──このまま、なんて、叶う事のない時間を望んでしまいそうになる。
許されない。もうそれは、許されてはいけないことなのだ。
伏せていた目を開けて、エリサを見る。祈るように俯いていた彼女と目は合っただろうか。少し気恥ずかしくて、誤魔化すようにわらうと、チャールズはゆっくりとした動作で立ち上がった。]
……懺悔ついでに、君に受け取って欲しいものがある。
[言いながら、繋いだままのエリサの手を引いて立たせると、徐にきっちりと着こなしたキャソックの襟元を緩める。
首元から手を入れ服の中から引き出したのは、細い鎖に繋がれた金の十字架。
首から外した華奢な造りのそれを、そっと彼女の手のひらに落として。その上から、自分の手を重ねる。]
……そこに刻まれているのは、私が生まれた時に、母から貰った名前です。
[人間であった頃の、自分の。
懐かしむ声音でそう、言った。]
(14) roki 2013/12/01(Sun) 02時頃