[淡藤の『花』を思い、濃藤の『花』を思い
口にする呪詛は蓋をした心の裡で蝕んでいくようでした。
ですから僕は梅花と共に、それを埋めていたのです。
空は秋の色をしておりました。
庭に植えられた秋櫻と、同じ色をしておりました。
秋の中に櫻がひとひら揺れていた頃のことにございます。
切り取られた窓枠、そこから見えた色と声に僕は振り向いたのでございます。]
僕の唄ではありません。
淡藤の唄にございます。
[これは僕の呪詛ではないと、土に汚れた手を払います。
眸の先には珍しいお姿がありました>>13]
……誰そ彼、とはよく謂ったものですね。
[此処に来られる時のお姿からは想像もしない様相をしておられました。
昨夜は地下に足を踏み入れることがなかったので、姿を拝見することもなく。
その間に嗜好をお変えになられたのでしょうか?
射干玉をまあるくして、僕は驚いた表情を向けました。]
(14) 2014/09/21(Sun) 15時半頃