[供物の破損は修復されなくても、内包する力は回復されていくのを感じれば、もはや動かない2つの体を、じっと見つめる。
イアンの魂も、彼が取りこんだ魂も、先ほどよりさらに赤黒く染まる腕に取り込まれていることだろう。
その時ふと、彼のシャツのポケットに、『死神の指先』>>2:13が収められていることに気がついた。
その意図>>3:56は、ヴェラには明確に知ることはできなかったが……その気持ちは微かであれ、分かる様な気がした]
……これは、お前の家族か?
[気がついたのは、ロケットつきのペンダントの存在>>1:121。
手にとって、中を開いた訳ではない。たまたま開いていたのを覗いてしまっただけのことだ。
すでに命の光を失ったイアンは、当然問いかけには答えない。
ただ、返答を待つように、少しの間、焦げついたイアンの顔を見つめていた。
その時間も長くはない。
血の臭いを嗅いだ下級魔物が集まってくる気配を察知して、ヴェラは白狼の毛皮へと手を伸ばす]
(12) 2013/06/19(Wed) 01時半頃