―― 食堂 ――
[ 短に帰ってきた梟からの返事>>1:243に、男はそうですか、と微笑い返した 。それは良かった、と。
何が良かったか、などは。 所詮管理人都合上のエゴに過ぎないことは、心底知りつつ。
されど一先ず、普段と寸分変わらぬ――ように見える、無表情な彼女の。 首を傾げる姿さえ、尻目に止めた。 ]*
―――はいはい、良く出来ました。
[ そうして、音にしてなぞられた自分の名を――男は薄く笑みを浮かべたまま、からかい気味に返した。
自分から振ったにしては軽すぎないかと言の葉の棘を投げられることもあったかもしれない。 されど男はあくまで戯けて返すのだ 。
その心中、彼女が何を知りたがっているのか。 ――薄く気付いては、適切な距離を保ちながら。
随分と投げ出したような名の呼び方ではあるが、猿から進化したのだ 。それだけで良い 。
――脳裏、思考の端でちらついたのは、青年期に見た歴史の教科書だった。 アウストラロピテクスに、クロマニョン人、 他。
さて、男は今や彼女にとって、 ” 何れ程 ”進化を遂げているのだろうか?
……「 なぜ 」を教えるのは、まだ早い 気がした。そう、また誰かに拒絶されても、困るのだ 。 ]
(12) 2015/07/12(Sun) 09時半頃